解説シリーズ 四半期報告制度


金融商品取引法における四半期報告制度の概要
第7回:四半期財務諸表の注記(2)(継続企業の前提等)および新会計基準等との関係 (2007.11.02)
新日本監査法人 社員 公認会計士 金子裕子
継続企業の前提

継続企業の前提に疑義を抱かせる事象等が存在する場合には、年度の財務諸表において当該事象または状況を解消・改善するため経営者の対応及び経営計画を注記することが求められています。しかし、四半期財務諸表は45日以内の提出という時間的な制約があり、期限までに経営計画が策定できないことも想定されることから、経営者の対応を注記するとされています。この「対応」には、経営計画がある場合にはその内容、経営計画がない場合には経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが合理的と判断した理由が含まれます(四半期財規ガイドライン21(7))。
なお、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在していた場合には、当四半期会計期間末までの、事象または状況に特段の変化がない場合には、事業年度末までの経営者の対応を記載します。
一方、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況に大きな変化がある場合、あるいは、前事業年度の決算日において継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象、または状況が存在していなかったものの当該四半期会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が発生した場合には、少なくとも当該四半期会計期間末の翌日から1年間の経営者の対応を記載することが求められています(四半期財規ガイドライン21(5))。従って、現行の中間財務諸表よりも、対象期間が延長されることに留意が必要です。

偶発債務、有価証券、デリバティブ、担保資産の注記

有価証券、デリバティブおよび担保資産の注記については、当該事項が企業集団にとって重要であり、かつ、前年度末と比較して著しく変動している場合に注記が求められます(適用指針80)。一方、偶発債務については、金額の変動に関係なく、重要な場合には注記が求められています(基準62)。

その他の制度および新会計基準等との関係

平成20年4月1日以後開始する事業年度から、次の制度および会計基準等の導入が予定されていることから、これらの制度や会計基準等と四半期報告制度の関係や影響は次のように考えられます。

1. 内部統制報告制度

上場会社等は、事業年度ごとに、内部統制報告書を有価証券報告書に併せて提出しなければならないとともに(金商法第24条の4の4)、当該内部統制報告書は、原則として、公認会計士または監査法人の監査証明(内部統制監査)を受けなければならないとされています(金商法第193条の2第2項)。
経営者による内部統制の評価は期末日を評価時点として行われますが(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」Ⅱ3(1))、是正が必要な場合もあることから、運用状況の評価は期末日以前の適切な時期に行うことが必要です。従って、四半期会計期間においても実施されると考えられます。
内部統制監査は、財務諸表監査と併せて実施されることにより、適正な財務報告を確保することを目的としています。四半期においては、財務情報を迅速・適時に開示する観点から、年度の監査よりも手続きの限定された四半期レビューが実施されますが、四半期財務諸表の適正性は、財務報告に係る内部統制が適正に整備されるとともに、その有効性が経営者・監査人によって検証される内部統制報告制度および年度監査と組み合わされることにより、一層確かなものとなると考えられます。

2. 確認書制度

ディスクロージャーの適正性を確保する観点から、上場会社等は、有価証券報告書の記載内容が適正であることを確認した確認書を、当該有価証券報告書と併せて提出しなければならないとされており(金商法第24条の4の2)、四半期報告書および半期報告書においても確認書の提出が求められています(金商法第24条の4の8、第24条の5の2)。確認書制度を実質的に有効に機能させる上で、内部統制報告制度が重要な役割を有していると考えられます。

3. リース会計基準

企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」および企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」が適用され、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理が廃止されます。
当該会計基準は、平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用されますが、四半期財務諸表については、1期遅れた平成21年4月1日以後開始する事業年度から適用することが認められています。ただし、この場合において所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る残高が前年度末と著しく変動している場合には、改正前の「リース取引に係る会計基準」(企業会計審議会第一部会 平成5年6月17日)で必要とされていた注記を記載しなければなりません(リース会計基準第24項)。

4. 在外子会社の会計処理の統一

実務対応報告第18号「連結財務諸表の作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」が適用され、在外子会社の会計処理は原則的に日本基準に統一されます。
実務対応報告第18号の適用初年度においては、過年度の税引後損益や過年度の評価換算差額等として会計処理しなければならない額が生じた場合に、当該金額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減するとされており(同実務対応報告 適用時期等(2))、平成20年4月1日以後開始する事業年度の第1四半期の財務諸表の作成時に、期首の貸借対照表の金額を確定することが必要です。

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