解説シリーズ 会社法


会社法における計算書類・事業報告等
第4回:計算関係書類の監査(2)(会計監査人監査の対象となる計算関係書類について) (2008.04.22)
新日本ナレッジインスティテュート
新日本監査法人 社員 公認会計士 山岸聡
新日本ナレッジインスティテュート
新日本監査法人 公認会計士 江村羊奈子
1.計算書類と監査の対象

以下の表は、会社が作成を要する計算関係書類と会計監査人の監査対象を、旧商法と会社法との比較でまとめたものです。

 <会社法>
種類会社法会計監査人による監査
計算書類
及び
その附属明細書
計算書類貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
個別注記表
事業報告(*1)
附属明細書
(計算書類、事業報告(*1))
○(*2)
連結計算書類連結貸借対照表
連結損益計算書
連結株主資本等変動計算書
連結注記表
臨時計算書類貸借対照表
損益計算書
(*1)計算書類には含まれないが、比較の便宜上、「計算書類及びその附属明細書」で記載
(*2)監査対象は計算書類に関する附属明細書のみ
規定あり
規定なし
 <旧商法>
種類旧商法会計監査人による監査
計算書類
及び
その附属明細書
計算書類貸借対照表
損益計算書
利益処分案(損失処理案)
営業報告書○(*1)
附属明細書○(*1)
連結計算書類連結貸借対照表
連結損益計算書
臨時計算書類制度なし
(*1)監査対象は会計に関する部分に限る
規定あり
規定なし
両者の違い
  • 営業報告書の代わりに作成されることになった事業報告およびその附属明細書は「計算書類」の対象外になるとともに、会計監査人の監査対象外となったこと
  • 会社法で新たに導入された臨時計算書類および株主資本等変動計算書が、会計監査人の監査対象となったこと
2.連結計算書類の作成と会計監査人監査

連結計算書類の作成および監査が義務付けられるのは、有価証券報告書を提出する大会社であり(会444 Ⅲ、Ⅳ)、旧商法と相違はありません。会社法において会計監査人設置会社は連結計算書類を作成することができ、その場合は会計監査人監査の対象となる点が異なります(会444 I、Ⅳ)。

3.会計監査人の監査報告
(1)監査報告書の記載内容

会社法においては会社計算規則154条において、監査報告の記載内容を定めています。旧商法では、計算書類等ごとに監査意見(適法意見)を記載することとされていましたが、会社法では一括して監査意見(適正意見)を記載するよう変更されており、会社法と証券取引法の監査報告は実質的に同じとなりました。

(2)正当な理由による会計方針の変更の取り扱い

例えば、「正当な理由による会計方針の変更」は旧商法においては5号意見の扱いでしたが、会社法においては、証券取引法と同様追記情報に記載することとなり、会社法と証券取引法の監査報告に実質的な相違がなくなっているといえます。

(3)後発事象の取り扱い

また、後発事象(計算書類を修正すべきものを除く、「開示後発事象」)は、旧商法では営業報告書の記載事項とされていましたが、会社法では証券取引法と同様、注記事項になりました。後発事象に関しては、「後発事象に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第76号 日本公認会計士協会)」が2006年6月に改正され、会社法と証券取引法の後発事象の監査上の取り扱いが同一となりました。

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