
新日本有限責任監査法人 シニアパートナー 公認会計士
成田智弘
プロフィール
内部統制評価制度に関連して、「経営者」、「公認会計士あるいは監査法人」、「監査役、監査役会あるいは監査委員会」の3者の役割は次のようになります。
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1.経営者による内部統制の整備および評価
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(1)金融商品取引法
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金融商品取引法による内部統制報告制度における内部統制の整備および評価は、第一義的には経営者によって行われます。経営者による内部統制の評価はおおむね次のような手順で実施されます。
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原則、すべての事業拠点について全社的な観点で評価。 |
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全社的な観点での評価が適切なものについては、全社的な内部統制に準じて評価。そうでないものは業務プロセスの評価に準じて評価。 |
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評価範囲について、必要に応じて監査人と協議 | |
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リスクとそれに対する統制(コントロール)を識別して、内部統制の整備状況、有効性を評価。 |
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経営者による評価の報告 |
金融商品取引法による内部統制報告制度の「内部統制」は、「財務報告に係るもの」とされており、この財務報告というのは有価証券報告書等の記載事項を念頭においています。このため、財務諸表以外の大株主の状況等の財務情報の記載も含まれています。
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(2)会社法
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会社法においては、金融商品取引法のような内部統制報告制度はありませんが、取締役または取締役会(経営者)は、「取締役(又は執行役)の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定または決議し整備しなければなりません(会社法第348条第3項、第362条第4項第6号、第416条第1項など)。
会社区分による内部統制構築義務は、おおむね次のようになります。
会社区分 |
取締役会を設置しない会社 |
取締役会設置会社 |
委員会設置会社 |
大会社 |
取締役の過半数で決定する義務(委任不可)(会社法第348条第3項第4号、第4項) |
取締役会で決定する義務(委任不可)(会社法第362条第4項第6号、第5項) |
取締役会で決定する義務(委任不可)(会社法第416条第1項第1号ホ、第2項) |
中小会社 |
任意 |
任意 |
取締役会で決定する義務(委任不可)(会社法第416条第2項) |
また、決定または決議の内容は、事業報告に記載することが必要です(会社法施行規則第118条第2号)。
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2.監査役、監査役会あるいは監査委員会
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(1)金融商品取引法
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金融商品取引法上は、監査役、監査役会あるいは監査委員会に特に責務はありませんが、内部統制の評価という観点からは「監査役、監査役会あるいは監査委員会」は評価対象である統制環境に含まれてしまうという面があります。
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(2)会社法
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会社法上は、「内部統制についての取締役等の決定又は決議の内容」および「内部統制に関する取締役(又は執行役)の職務の執行」について、監査報告で意見を述べることが必要です(会社法第436条、会社法施行規則第129条以下)。この会社法で監査役、監査役会あるいは監査委員会が意見を述べる「内部統制」の範囲は、金融商品取引法では「(有価証券報告書の)財務報告に係る部分」に限られているという点で、その範囲が異なっていると考えられます。
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3.公認会計士あるいは監査法人による内部統制監査
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(1)金融商品取引法
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金融商品取引法における公認会計士あるいは監査法人によって行われる内部統制監査の目的は、経営者の作成した内部統制報告書が、一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に準拠して、内部統制の有効性の評価結果をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人自らが入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することです。
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(2)会社法
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会社法においては、会計監査で必要な部分の内部統制の評価を行いますが、内部統制そのものに関して、意見を述べることは求められていません。
公認会計士あるいは監査法人は、会社法の監査終了時点で、重要な欠陥を発見した場合には、経営者、取締役会および監査役または監査役会に途中経過を報告することが必要と考えられていますが、会社法監査終了日時点での監査人の報告は、あくまでも内部統制監査の経過報告であることに留意する必要があります(「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」日本公認会計士協会、監査・保証実務委員会報告第82号、最終改正平成21年3月23日)。
- 事例集
【事例分析】アニュアルレポート・決算短信英訳資料 公表会社分析(平成21年2月28日現在)(2009.06.11) - シリーズ 業種別会計の基礎 ― 化学産業
第3回:化学産業下流事業の会計処理の特徴(2009.06.02) - 事例集
【事例分析】平成20年3月期監査報告書提出日調査(2009.06.02) - シリーズ 業種別会計の基礎 ― 化学産業
第2回:化学産業上流事業の会計処理の特徴(2009.05.27)





