1.下流事業の特徴
下流事業とは、上流事業における「基礎化学品」を原料として、高い付加価値を付与し高い機能を提供する製品を製造する研究開発型の事業を指します。
下流事業の特徴としては、次のようなものが挙げられます。
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(1)差別化を図る製品特性
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化学産業の下流事業は、基礎化学品に付加価値を付与して差別化を図る事業であるといえます。製品の差別化が図られることにより、下流事業には次のような特徴が生じます。
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①高い利益率
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製品が高付加価値であり、競合他社には生み出せないものであればあるほど、製品としての価値は高まることとなり、その販売価格も高まることとなります。下流事業製品は、上流事業と比較して利益率が高い水準となる傾向にあります。
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②多品種少量生産
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差別化はユーザーの要求に合わせて図るものであり、そのさまざまな要求に応えるため、下流事業においては主として多品種少量の製造を行うこととなります。図1に示すように、上流から下流へ向かうにつれて裾野が広がり、取り扱う製品の種類が多くなっていくものといえます。
また、下流事業で取り扱う製品は、最終ユーザーが自動車メーカーや家電メーカー、食品メーカー等に対するものであり、製品の機能について厳しい要求がなされることがあります。その要求に技術的に対応することが求められた結果、製品の種類が多数になっていくこともあります。
図1:石油化学製品フロー(出典:石油化学工業協会ウェブサイト)
(図をクリックすると拡大版(石油化学工業協会ウェブサイト内)が表示されます)
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(2)原材料と価格転嫁
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下流事業においては、上流事業と比べて原材料価格の上昇を販売価格へ転嫁させにくいものと考えられます。その理由としては、下流事業製品が基礎化学品から加工を加えたものであることから直接に材料価格そのものとの連動性は低いこと、売り先が自動車メーカーや家電メーカー、食品メーカー等の価格競争が厳しい市場である場合が多いことなどが考えられます。
また、その製品特性から得意先が多数にわたることが考えられます。価格交渉もそれぞれ行うことになるため、一つの事業で値上げの方針を打ち出してからすべての得意先に対して値上げ交渉が成立するまでに、相当の期間を要することもあります。
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(3)研究開発型
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高付加価値により差別化を図るためには、研究開発活動を継続的、積極的に行っていくことが必要となります。上流事業においても研究開発活動は行われているといえますが、高付加価値化による差別を図っていくために、下流事業では、より研究開発やそのための設備投資に資金が投入されているといえます。
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(4)設備産業
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製造業である化学産業は、下流事業においても典型的な設備産業であるといえます。
上流事業においては基礎化学品の製法はほぼ普遍的なものであるため、巨大プラントを長期に渡りメンテナンスをしながら使用することが一般的です。
これに対し、下流事業においては常に製品の差別化が求められるため、新型設備の導入が求められる傾向にあります。なお、より高付加価値の製品を製造するためにも定期的な設備の修繕は必要であるといえます。
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(5)総合化学メーカーの発展
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上流事業は、下流事業に必要な基礎原料を供給するものであり、下流事業を支える重要な事業ですが、わが国の化学産業が成長を目指すためには研究開発力を生かした下流事業の強化が必要と考えられます。
わが国の歴史において、化学企業はエチレンプラントなどの上流事業から出発し、川上から川下までの価値の連鎖を目指して「総合化学メーカー」として発展してきました。特に情報電子材料事業においては、わが国の総合化学メーカーが多くの分野で強みを持ち、収益源としても大きく貢献しているといえます。
今後も、化学企業においては高い収益性を求めて下流事業を強める戦略が採られるものと考えられます。そして、上流側または他の産業からも化学産業の下流事業へ参入する動きが活発化するものと考えられます。
- 事例集
【事例分析】アニュアルレポート・決算短信英訳資料 公表会社分析(平成21年2月28日現在)(2009.06.11) - シリーズ 業種別会計の基礎 ― 化学産業
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【事例分析】平成20年3月期監査報告書提出日調査(2009.06.02) - シリーズ 業種別会計の基礎 ― 化学産業
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