中国子会社の会計実務処理(その149)「リース(17)」
新会計基準におけるセール・アンド・リースバック取引の会計処理
新会計基準においても、セール・アンド・リースバック取引はファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースのどちらかに分類しなければなりません。
セール・アンド・リースバック取引がファイナンス・リースとして認定される場合は、売却価額と資産の帳簿価額との差額は繰り延べて、当該リース資産の減価償却進ちょく度に応じて償却を実施し、減価償却費の調整としなければなりません。
セール・アンド・リースバック取引がオペレーティング・リースとして認定される場合は、売却価額と資産の帳簿価額との差額は繰り延べて、リース期間内においてリース費用の認識と同一の方法で償却を実施し、リース費用の調整としなければなりません。
ただし、セール・アンド・リースバック取引が公正価値に基づいて成立したことを表明する確実な証拠がある場合は、売却価額と資産の帳簿価額との差額を当期損益に計上しなければなりません。
いずれの規定も旧会計基準と同じですが、オペレーティング・リースとして認定される場合で、公正価値に基づいてセール・アンド・リースバック取引がなされた場合には、差額を当期損益として認識する規定は、旧会計基準にはありません。これは、旧会計基準では公正価値による測定を定めていないことによるものと思われます。
なお、新旧会計基準と国際基準では、セール・アンド・リースバックに関する規定には異なる部分があります。国際基準では、セール・アンド・リースバック取引がファイナンス・リースを形成する場合は、新会計基準および旧会計基準と同じ処理となります。売却差額を繰り延べて、減価償却費の調整としてリース期間で償却します。
国際基準では、セール・アンド・リースバック取引がオペレーティング・リースを形成する場合で、公正価値に基づいて資産が売却される場合は、損益を即時に認識します。この取り扱いは、新会計基準と同じであるものの、売却差額を繰り延べる旧会計基準とは異なる処理となっています。
セール・アンド・リースバック取引がオペレーティング・リースを形成する場合で、売却価額が公正価値に基づかない場合は、国際基準では次のようになります。
資産の売却価額が公正価値よりも低い場合は、その損益を直ちに認識します。この取り扱いは、売却差額を繰り延べる旧会計基準および新会計基準とは異なる処理となっています。
資産の売却価額が公正価値よりも低くとも、損失が将来の支払リース料が市場価格以下になることで補償される場合は、見積使用期限内で損失を繰り延べて支払リース料に比例して償却します。この取り扱いは、売却差額を繰り延べる旧会計基準および新会計基準とは同一の処理となっています。
資産の売却価額が公正価値より高い場合は、公正価値より高い部分を繰り延べて、リース資産の見積使用期限内で償却します。この取り扱いは、売却差額を繰り延べる旧会計基準および新会計基準とは同一の処理となっています。
(次回に続く)


(あきもと ひろき)
新日本有限責任監査法人 公認会計士
2003年~2008年上海駐在。
のだめ系公認会計士。吹奏楽を愛する武闘派エンターテイナー。
帰国後は財務諸表監査や内部統制監査に従事。
中国案件を担当し、中国の最新の実務経験と知識を役立てている。
鉄道と長距離バスを使いこなし、かばん一つでどこにでも飛んでいく送迎無用の中国専門要員。
中国語は専門翻訳および通訳をこなす上級レベル。

- 2008中国会計ビッグウェーブ(173)(2008.07.25)
- 2008中国会計ビッグウェーブ(172)(2008.07.24)
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