民間理論の導入で、変る日本の公会計
~第2回:行財政のあるべき姿を示した公会計原則(2002.06.12)
新日本監査法人では、会計士をはじめ、豊富な経験と実績を持った多彩なジャンルのプロフェッショナルが、高品質なサービスを提供しています。ピックアップパーソンは、その中から人物にスポットをあて、時流を読むキーとなるさまざまな情報やビジネスの最新ノウハウを皆様にわかりやすくお届けしています。
今回のピックアップパーソンは、代表社員である筆谷勇氏を迎え、「民間理論の導入で、変わる日本の公会計」をテーマにお伝えします。
- プロフィール
新日本監査法人 代表社員 公認会計士
筆谷 勇
なぜ今、公会計が注目されているのですか。
その動きの一つが、地方公共団体の外部監査ですね。筆谷先生は東京都の
外部監査人でいらっしゃいますが、石原都知事の公会計に対するお考えは?
石原都知事は、ご自身も公認会計士試験を受けていますから、改革の必要性をよくご存じで、全面協力してくれます。直接、電話で意見を求められることもしばしばあり、「筆谷さんは会計士だから、あなたの意見は聞きましょう」とおっしゃいます。ありがたいですが、それだけ責任を感じます。
また、昨年6月には政策評価法も成立しました。こうしたなか、公会計はどう変っていくのでしょう。
私どもは、基本的な会計手法は民間と同じにすべきだと働きかけています。ただ、民間は処分可能利益を出すことが目的ですが、公会計はサービス提供のための会計はどうあるべきかを見る点が、根本的に異なります。したがって、そこを民間とは変える必要があります。
このような考えのもと、公会計のあり方を理論化したのが、私がまとめた公会計原則です。近く日本公認会計士協会から発表されますが、改革の機運が高まってきた時期に、絶妙のタイミングで出せました。
公会計原則のポイントを教えてください。
時価評価と、発生主義による複数年予算制度の採用です。公会計先進国ニュージーランドの仕組みを基本に補足を加え、どこより良いものにしました。細則を定めた公会計基準も、ほぼできています。これで5年先、10年先のバランスシートをつくるようになれば、財政を徹底的に改革できます。
公会計原則は5月頃にインターネットで公開するほか、英訳して海外にも出す予定です。これを読んだら皆さん驚くでしょうね。大議論が起こるのを期待しています。
大きく変わりつつある公会計分野の今後を、どのように展望されていますか。
公会計の対象は、学校法人や宗教法人も含めると約26万あり、いずれすべてに外部監査を行うようになるでしょう。これを受け、公認会計士試験や大学教育でも、公会計を取り上げる動きが出てきました。私自身、この秋から中央大学大学院で教えます。まさに、“時代は公会計”であり、公会計原則は至上命令といえます。
最後に、新日本監査法人の強みとは?
一番の強みは、日本の公会計の先駆者であり、多くの実績とノウハウ、専門家を有していることです。これを活かし、公会計のあるべき姿を実現していくことが、私たちの責務と考えています。

世界的な流れとして、行財政にもコスト意識や情報公開が求められてきたからです。このため、各国で公会計に発生主義に基づく民間理論を取り入れ始めています。ところが、日本はいまだに修正現金主義の単年度会計で、さまざまな不都合が生じています。
私は以前から、これを正すべきだと指摘してきました。それが、財政逼迫の懸念などもあり、今まさに具体的な動きになってきたのです。