コラム

企業実務に大きな影響を与える金融商品取引法の注目点に迫る(2006.12.04)


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2006年6月、金融商品取引法が参議院で可決され、2007年中に適用される運びとなった。

同法は文字どおり金融商品の取引ルールを定めるだけではなく、資金調達や投資など企業実務に不可欠の活動も規制の対象としている。

法の施行に伴って一般企業に課される義務も拡大するが、その内容を認識し準備を始めている企業はまだ少数にとどまる。そこで、新日本監査法人の伊澤賢司公認会計士に、企業側から見た同法の留意点について聞いた。


顔写真


内部統制をどのようにガバナンスに役立てるか


金融商品取引法(金商法)は、その名称から主に金融商品取扱業者と投資家間の利害調整の法律と解されているようです。


伊澤

金商法は、投資活動と資金調達活動の双方についてのルールを定めた法律であるということができます。想定されている関係者は、証券会社などの金融商品取扱業者、投資家、一般企業の三つです。特に一般企業については、資金調達の際のルールが制定されていることに注意していただきたいですね。


制定の経緯は?


伊澤

1996年、日本版ビッグバン構想の一環として、従来、証券取引法(証取法)、投資顧問業法などに分化していた法制度について、統一したルールをつくろうという機運が高まりました。そこで、いわば三段跳びのような段階を踏むプロセスを採っています。「ホップ」として、現在の証取法を改正し罰則の強化や公開買付(TOB)制度の整備などを行ないました。続く「ステップ」が、今回の金商法の制定・適用です。さらに「ジャンプ」となる将来の課題として、対象となる金融商品を拡大するなど幅広いかたちの金商法へと発展していくことになるでしょう。そもそも金商法自体も、当初は投資サービス法と仮称されていましたが、検討中に金融商品取引法に変更された経緯があります。最終段階までも見越した結果の名称変更ということになるでしょうね。


法律改正のステップ

広く金融・投資商品を対象にルールの統一を図る


金商法の概要をひと言でまとめるとすれば、どのようになるでしょうか。


伊澤

この法律の趣旨は「規制対象の横断化」と「規制内容の柔軟化」という二点に集約できます。横断化とは、およそ金融商品すべてに法の網をかぶせ、販売・勧誘ルールの統一を図ろうというものです。従来、株式など有価証券取引は証券取引法によって証券会社が規制され、先物取引は金融先物取引法により金融先物取引業者が規制されるというように、法律により縦割りの規制がなされていました。これを横断的に規制しようというのが金融商品取引法です。


確かに、一つの会社が商品先物や株取引などを兼業するケースが多くなってきました。こうした時代の趨勢に合致するといえそうですね。


伊澤

法規制のなかった金融商品もあります。たとえば、組合型ファンドや一部のデリバティブ取引です。規制がないというのは、販売・勧誘ルールが存在しないということで、このため投資家が思わぬ損害を被るケースも多くなっていました。こうした金融商品にも規制の網をかけることが、金商法の狙いの一つです。抵当証券や信託受益権も規制対象となりました。ただし預貯金や保険商品、不動産ファンド、商品先物取引などは、従来どおりそれぞれの業法に規制を委ねることになります。


規制対象の横断化と規制内容の柔軟化