コラム

東京証券取引所の宣誓書と確認書への対応(2005.05.27)


1234567891011121314|  次のページ
顔写真

書籍表紙画像本稿は、東京証券取引所(東証)が求めている宣誓書に添付する適時開示体制と、有価証券報告書の記載内容を適正にするための社内体制(システム)の構築について、筆者の考えを述べたものです。従って意見にかかわる部分は私見であることをお断りいたします。

なお、本稿で取り上げた内容の詳細は、私の著書である『代表者確認書のための内部統制の評価モデル』(中央経済社刊)に記載されています。(写真)


1. 東証の宣誓書と確認書

(1)宣誓書
東証は開示書類等の信頼性を向上させるために、上場会社の代表者である代表取締役もしくは代表執行役に宣誓書を提出させることにした。
宣誓書は、会社情報の投資者への適時適切な提供等について真摯な姿勢で臨む旨を宣誓した書面である。この宣誓書には、投資者が上場会社の適時開示に対する取り組み状況を把握する上で参考となるように、適時開示に関する社内体制を記載した書面を添付書類とし、この添付書類に記載した社内体制の充実に努める宣誓を求めるものである。

宣誓書の記載内容は以下のようになる。
『投資者への適時適切な会社情報の開示が健全な証券市場の根幹をなすものであることを十分に認識するとともに、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるよう添付書類に記載した社内体制の充実に努めるなど、投資者への会社情報の適時適切な提供について真摯な態度で臨むことを宣誓する』
宣誓事項について重大な違反を行った場合には、改善報告書徴求の対象とせず、直ちに上場契約違反等に係る上場廃止基準の対象となる。ここで『重大な違反を行った場合』とは、証券市場全体に対する投資者の信頼を大きく損なうような不適切な開示が行なわれたケースが想定されている。
宣誓書の提出の時期は、2005年2月で一斉に提出する。その後は、代表取締役もしくは代表執行役が交代するごとに、あるいは5年ごとに再提出となる。
この宣誓書および適時開示に関する社内体制を記載した添付書類は公衆の縦覧に供される。

(2)確認書
東証はまた、開示書類等の信頼性を向上させるために、上場会社の代表者に『有価証券報告書等(有価証券報告書等および半期報告書を言う)の記載内容の適正性に関する確認書』を提出させることにした。
『有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する確認書』とは、有価証券報告書等の提出会社の代表者が、その提出時点において、当該有価証券報告書等の内容に不実の記載がないと認識している旨を記載した書面である。
確認書には、代表者が不実の記載がないと認識するに至った理由(例えば、有価証券報告書等の作成に係る社内体制の状況など、有価証券報告書等の作成に関して上場会社の代表者が確認した内容)についても記載しなければならない。
この確認書は、財務諸表等が適正に作成されるシステム(5.参照)が機能していることの確認を前提としていない。東証では、財務諸表等が適正に作成されるシステムの確認がなくとも、代表者が有価証券報告書等に不実の記載がないとの認識に至ったプロセスの記載があれば、適正性の裏付けとなる経営者の確認のレベルを投資者が評価する参考にすることができると考えている。
提出会社が、企業内容等の開示に関する内閣府令(17条1項1号ヘ、など)に基づく確認書を有価証券報告書等に添付している場合(添付は任意)は、その写しを提出することができる。
確認書の提出は、2005年1月決算会社からで、3月決算会社の場合は2005年3月期から適用になる。確認書は公衆の縦覧に供される。

(3)有価証券報告書等に虚偽記載があった場合の措置
確認書を提出したにもかかわらず、有価証券報告書等に虚偽記載が認められた場合は、虚偽記載に係る上場廃止基準の対象になる。
現在の財務諸表等(財務諸表、連結財務諸表、中間財務諸表、中間連結財務諸表を言う)の虚偽記載に係る上場廃止基準においては、財務諸表等に虚偽記載を行った場合のみを対象にしているが、有価証券報告書等のうち財務諸表等以外の部分に虚偽記載を行った場合にも上場廃止の対象にするように、基準を見直す予定である。
ここで『虚偽記載』とは、有価証券報告書等について、(1)内閣総理大臣から訂正命令を受けた場合、(2)内閣総理大臣等もしくは証券取引等監視委員会により告発が行われた場合、または(3)訂正報告書等を提出した場合であって訂正内容が重大である場合を言う。

(4)内閣府令の確認書との違い
企業内容等の開示に関する内閣府令(17条1項1号ヘ、など)は、有価証券報告書、有価証券届出書、半期報告書(以下“有価証券報告書等”)の提出会社の代表者が、それらに記載された事項が適正であると確認し、その旨を記載した書面(以下、“確認書”という)を当該有価証券報告書等に添付しようとする場合には、平成15年4月1日以降に開始する事業年度から、この確認書を有価証券報告書の添付書類とすることができるようになった。
現在のところ、確認書の提出は任意である。そのために、その様式、記載内容等についての定めはない。しかし、『企業内容等開示ガイドライン』の5 - 29 - 2は、次の事項を記載し、確認を行った代表者がその役職を表示して自署し、かつ自己の印を押印するものとしている。

  • 当該有価証券報告書の記載内容が適正であることを確認した旨
  • 当該確認を行った記載内容の範囲が限定されている場合はその旨及びその理由
  • 当該確認を行うに当たり、財務諸表等が適正に作成されるシステムが機能していたかを確認した旨及びその内容
  • 当該確認について特記すべき事項

なお、金融庁が平成14年10月30日に公表した『金融再生プログラム』に盛り込まれた『資産査定の厳格化』の施策の一環として、金融庁は平成15年3月期に係る有価証券報告書等から確認書を添付することを主要銀行に対して要請しており、これに基づいて主要銀行は平成15年3月期から、この確認書を有価証券報告書等に添付している。