コラム

内部統制システムの構築と運用が、 勝ち組・負け組を決定付ける(2006.02.15)


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日本でも、内部統制の制度化が、いよいよ現実のものとなってきた。

勝ち組企業となるために、内部統制システムをいかに活用すればいいのか、 専門家である新日本監査法人の2人の公認会計士にインタビュー。

原田氏にはガバナンスの観点から、藤井氏には企業経営の側面から、 内部統制の制度導入のポイントを教えていただいた。


顔写真
  • プロフィール

    新日本監査法人 代表社員 公認会計士 原田恒敏(写真右)

    新日本監査法人 内部統制支援本部 統括部長 藤井範彰(写真左)



内部統制をどのようにガバナンスに役立てるか


最近になって、日本でも内部統制の制度化に向けた議論が盛んになってきています。これにはどのような背景があるのでしょうか。また検討されているのはどのような制度なのでしょうか。


原田
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内部統制という言葉の印象だけで考えると、米国のエンロンやワールドコムなどの粉飾決算の問題や、従業員の不祥事などの問題をイメージされるかもしれませんが、内部統制とはそれだけではなく、企業に存在するリスクを捉え、マネジメントするということにほかなりません。

内部統制が注目される背景には、企業の内部が見えづらくなっていることが挙げられます。企業のグローバル化や巨大化、連結経営などにより、リスク管理が難しくなっていて、これによる企業倒産が増加しています。もちろん、前述したような、有価証券報告書の虚偽記載による証券市場などにおけるディスクローズに対する不信も増加しています。これらを含めて、企業、経営者の法的責任がクローズアップされています。

かつて日本では「和をもって尊しとする」といったように、皆までいわなくても企業の規律やルールが守られるといったことがありました。しかし最近では、米国的な組織構造や従業員の意識変化などもあって、それが通用しなくなっています。米国同様、内部統制に関する規制が厳しくなる予定です。

06年に施行が予定されている新会社法のほか、証券取引法にも内部統制に関する規制が組み込まれる見込みです。それぞれ検討されている制度を見ていくと、まず新会社法では、内部統制システムの構築の基本方針を取締役会で決定し、「事業報告」に記載することの義務付けの適用対象会社の範囲が、現行法の委員会等設置会社から商法特例法上の大会社に拡大されます。また、証券取引法では、有価証券届出書・報告書の提出会社に財務報告にかかわる内部統制報告書の作成と監査法人または公認会計士の意見表明が求められるようになります。


会社法と証券取引法の両方で、内部統制に関する規制が組み込まれるということは、どういうことなのでしょうか。それぞれに、どのような違いがありますか。


原田

まず、その範囲でいうと、証券取引法は、財務報告に限られるのに対して、会社法はリスク管理体制などの広い範囲であるというのが特徴です。

また、開示などについて見ていくと、会社法は、内部統制基本方針などの開示義務を企業に課すことに対し、証券取引法は財務報告の内部統制の開示、つまり内部統制報告書の作成義務を企業に課し、それに対して監査法人または公認会計士が意見を表明するという点に違いがあります。


内部統制はコーポレートガバナンスに役立つと考えられていますが、そこではどのような仕組みが考えられていますか。


原田

米国のSOX法などの例から、内部統制というと、やらされ感、義務感を感じるかもしれませんが、内部統制に取り組むことで、企業にとって多くのメリットがあるということに注目すべきです。

たとえば新会社法では、機関設計の多様化などにみられるように、会社経営の機動性・柔軟性などを図るための規定が多くあります。このため、事業活動の目的達成のため、業務の有効性および効率性を高めることができるようになります。一方、会社経営は、リスク・不祥事などの防止、事業活動にかかわる法令などの遵守、資産の保全、財務報告などによる健全性・透明性などの確保が不可欠です。会社経営の機動性・柔軟性は「攻めの経営」、法令等の遵守、資産の保全、財務報告は「守りの経営」ということもできます。そして、これらの橋渡しをするのが、内部統制システムであり、コーポレートガバナンスの基本です。

いうまでもなく、優良企業はコーポレートガバナンスがしっかりしています。たとえば、すでに有価証券報告書および決算短信では、コーポレートガバナンスの状況が記載されていますし、上場会社では、有価証券報告書の記載内容の適正性に関する確認書の提出が求められています。また、日本監査役協会は、内部統制システムの整備のチェックを監査役監査基準に入れています。

内部統制等に関する仕組みを概略すると、図1のようになります。

図1 内部統制の概略

これからは、内部統制システムの構築と運用が、企業が勝ち組になるか、負け組になるかを決定付けるといっても過言ではないでしょう。