デリバティブなど金融商品会計のゆくえ
~第2回:経済実態をあらわす会計処理の提言(2002.08.30)
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今回のピックアップパーソンは、代表社員である成澤和己氏を迎え、「デリバティブなど金融商品会計のゆくえ」をテーマにお伝えします。
- プロフィール
新日本監査法人 代表社員 公認会計士
成澤和己
金融商品の「目的別会計」とは、どのような考え方なのですか。
目的別会計にデメリットはないのですか。
確かに1993年頃、全面時価主義論の先生からは、企業の思惑でころころ利用目的を変えられると利益操作につながるという指摘を受けました。鋭いご意見なのですが、そうならないために、各金融商品の発生段階で企業に稟議書など文書によりその利用目的を明確に宣言させ、原則としてその後の目的変更は認めないという制約を設け、監査人がこれを監視していくならば、目的別会計は機能していくのではないかと申し上げました。
目的別会計は金融商品に限られた考え方なのでしょうか。
目的別会計は、有価証券と金銭の信託のほか、研究開発費会計基準のソフトウエアの会計処理でも採られています。そもそも、同じ所有している土地であっても、本社屋の土地は有形固定資産、賃貸用の土地は投資不動産、販売用の土地は棚卸資産となりますから、目的別会計は金融商品以外でも採られるべきものだと言えるのではないでしょうか。
主観価値説と言う考え方を会計学者の方々から教えていただきましたが、主観価値説では資産の所有目的に従い評価基準を異にしますので、目的別会計はこの主観価値説と結びつくものだと言えましょう。
今までも、先生のご意見は、わが国の会計ルールに反映されていますね。
1987年の「金融商品等会計問題研究会」に参加して以来、公の研究会や著書・論文などでつたない提言をしてきました。例えば、89年に先物取引・有価証券・特金などの含み損益の注記の必要性を、94年にヘッジ目的以外の為替予約の含み損益の注記を、95年にデリバティブの定性的・定量的な情報開示の必要性とその様式を提案しました。また、93年には、時価評価も含んだ目的別会計につなげるため、企業会計原則の改訂か金融商品会計基準の制定が必要である旨を、94年には、利用目的別の情報開示が将来の目的別会計処理へのステップになる旨を提言しました。
要するに、取得原価主義を原則とする商法と企業会計原則への配慮から、いきなり時価評価を含む目的別会計に移行するのではなく、まず利用目的別に含み損益などを注記するという形で投資家への情報を補い、一定期間経過後、目的別会計に軟着陸していくべきだと考えたわけです。
最近は、金融庁の「金融検査マニュアル検討会」委員も努められました。
このときは、
(1)償却・引当部分も検査マニュアルに織り込むこと
(2)要注意先の債務者区分を要管理先と狭義の要注意先とに分けること
(3)要注意先に対する債権への引当ては細分化すべきこと
(4)中小零細企業については役員報酬の水準・代表者の資産内容なども考慮すべきこと
(5)事故防止のため、一定期間職場を離れる方策をとること
(6)取引の録音内容とディーリング・チケットとの照合手順や在宅ディーリングの管理を徹底すること
(7)検査マニュアルのQ&Aが必要なこと
(8)マニュアルの見直しはタイムリーに行うこと
などを提案しました。
大蔵省(財務省)関係の研究会同様、この検討会でも一会計士の立場で率直に意見を述べることができ、また会議の場以外でも委員の方々といろいろな議論が交わせましたので、大変良い経験になりました。その後も、さまざまな検査マニュアル草案に対する会計士協会のコメント作成に携わっています。

継続企業の決算書で金融商品の実態をあらわすために、その利用目的ごとに適切な会計処理を行うというものです。金融商品会計基準では有価証券と金銭の信託について目的別会計が採られていますが、個人的にはこれをデリバティブや金融負債、他の金融資産についても適用すべきだと考えています。
例えば、デリバティブの場合、ヘッジ目的のものはヘッジ会計、満期保有目的のものは原価評価、投機目的のものは時価評価を行うべきですし、金融負債の場合、設備資金調達のためのものは原価評価、時価評価されている金融資産とひも付きのものは時価評価すべきでしょう。