社会の要請に絶えず応え続ける
CSRは本業と一心同体である(2007.02.08)
アサヒビールは考えている。
CSRは本業とイコールであり、経営理念を具現化する取り組みである、と。
企業におけるCSR活動のフェーズが段階的に進展を遂げるなか、アサヒビールの池田弘一会長と新日本監査法人の大久保和孝CSR推進部長に、今、CSRの主眼はどこに向かおうとしているのか、語り合ってもらった。
- プロフィール
アサヒビール株式会社 会長
池田弘一氏(写真左)新日本監査法人 CSR推進部長
公認会計士 大久保和孝(写真右)
CSRの成果は業績にこそあらわれる
私は時代や社会の要請に応える形で、経営理念を具現化する活動こそがCSRだと考えています。当社にとってCSRとは経営基盤という位置付けであり、CSRの成果は業績に自然と表れるものです。さらに、企業は社会から「一歩進んでいる何か」が求められていると思います。そのサムシングはCSR活動を進めていくなかで見つけやすくなるのではないでしょうか。
CSRを推進するにあたって、「お客様」という表現に広い範囲のステークホルダーを含んでいますね。
私どもにとっては株主、社員、取引先、地域社会などを含め、「あらゆるステークホルダーがお客様」であり、CSRは「CS+R」なのです。すなわち、お客様満足(Customer Satisfaction)のためにステークホルダーとの交流(Relation)を図る活動と定義しています。ただし「満足」とは、一回限りの体験を指しているではありません。一つの成功に慢心した瞬間に落とし穴が待っていると心得て、あらためて「CS+R」を徹底させ、気を引き締めて企業活動を行っています。
身の丈にあったできる範囲内のこと
事業の特性上、水資源の確保は不可欠な課題であり、本業を通じて積極的に取り組まれていますね。
ビールは水や麦、ホップなど自然の恵みから作られています。とくに、きれいな水を作るには森林が不可欠です。そこで当社では、循環型水源地保全活動に取り組んでいます。個人株主向けの優待制度のなかにも、優待品相当額を「アサヒビール環境基金『水の惑星』」に寄付し、森林保全や緑化に役立てるという選択肢も用意しています。中国・山東省との連携による、循環型農業モデルの研究も進めています。
当社では、社有林「アサヒの森」(広島・庄原林業所)を維持しています。間伐などの手入れを行き届かせている森です。この森は遡ること戦前、ビールの王冠に使用していたコルク原料の代替となるアベマキが自生する森として、維持・管理し続けてきました。経営が苦しい時期でも先輩たちが守り続けてきたことは感慨深いものがあります。長い時間はかかりますが、そうしないと大事な森を守れないのです。ほかにも、全国各地の工場で組織的に水源地保全に取り組んでいます。2代、3代後の世代のためにやっておくべき仕事だと考えています。

「企業が社会との調和を目指し、
本業を通じて取り組んでいくことが大切」
本業と関係のない散発的な取り組みをとりあげて、CSRを実践していることを主張することがあります。しかしながら、CSRの本質は、常に本業と表裏一体となりながら、さまざまな社会的な課題に本業を通じた継続的な取り組みを行うものです。
その通りです。ほかにもやってみたいCSR活動のテーマは多くあるのですが、「身の丈にあったできる範囲内のこと」に絞っています。そうしないと長く続かないのです。また、少々利益が出たからやるとか、出ないからやめるというのではなく、あくまでも顧客満足度追求という本業を通じたCSR活動が大事です。本業を一生懸命勤め上げることがまさにCSRだと思います。

CSRやコンプライアンスについては、言葉が目的化されることもあり、本質的な議論が抜け落ちているようにも思えます。いずれにしても、企業が社会との調和を目指し、本業を通じて取り組んでいくことが最も大切だと思うのですが。