コラム

加速する会計基準の国際的収斂
~対応ぶりが企業のグローバル競争力を左右(2008.11.18)

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世界的な財務情報の統一性を求める投資家などからの強い要望を背景に、会計基準の国際的収斂(コンバージェンス)が急速に進展している。この4月に始まった2008(平成20)年度にまず、四半期決算をはじめ棚卸資産評価など、多くの新しい会計基準が導入された。さらに平成22年度にかけ、金融商品や持分法に関連するものなど、企業経営に大きなインパクトを与える会計基準の変更が予定されている。コンバージェンスは国際資本市場の重要なインフラ整備であり、企業としては、それに的確に対応できるかどうかが、グローバル時代の競争力を左右するカギになる。


新日本監査法人
品質管理本部社員
公認会計士 湯川喜雄(写真左)

新日本監査法人
品質管理本部社員
公認会計士 金子裕子(写真右)


会計基準の国際的収斂(コンバージェンス)が急速に進み始めた。その背景には、世界の投資家から財務情報の統一性、比較可能性を求める圧力が強まっていることなどがある。企業活動がグローバル化しているにもかかわらず、日本、米国、欧州連合(EU)はそれぞれ独自の会計基準を使っている。そのため、的確に比較をすることが極めて難しいのが実態だ。コンバージェンスは、国・地域によって異なる会計基準を国際的に統合し、物差しを1つにすることで、そのカベを取り払う制度変更だと言える。

統合作業では欧米が先行
日本も2011年までに実現へ

国際財務報告基準(IFRS)が世界的な基準となったきっかけは、2002年7月のEUによる国際会計基準(IAS)の導入決定、さらに2003年の「目論見書指令」および2004年の「透明性指令」により、EU域内で資金調達を行う第三国の企業(日本企業など)にもIFRSまたはこれと同等の基準の適用が義務付けられたことである。

一方、米証券取引委員会(SEC)は、従来、米国の投資家保護の観点から、外国基準の受け入れについては米国基準への数値調整を求めてきた。しかし、2002年10月、米国の会計基準を作成する財務会計基準審議会(FASB)は、EUの影響力が強い国際会計基準理事会(IASB)とノーウォーク合意を締結した。これに基づいて、米国の会計基準とIFRSの将来的な統合に向けた共同プロジェクトが進んでいる。

こうした動きを受け、SECは2005年4月に「コンバージェンスに関するロードマップ」を公表し、2007年11月には外国企業がIFRSによる財務諸表を数値調整なしで使用することを認める決定をした。さらに、米国企業のIFRSの採用に関する検討も進められている。「EUにおけるIFRSの採用とノーウォーク合意以降のSECの動きは、非常に重要な意味を持っています」と、新日本監査法人の品質管理本部社員で公認会計士の金子裕子氏は力説する。

もし日本が、米国とEUを中心に進むコンバージェンスの流れに取り残されれば、「日本の会計制度は国際標準から懸け離れている」という印象を与えかねない。その結果、日本企業のグローバルな資金調達が難しくなるだけでなく、日本の資本市場そのものの信頼性低下を招く恐れもある。そのような事態を避けるため、日本経済団体連合会は2006年6月に「会計基準の統合を加速化し、欧米との相互承認を求める」とする意見書を発表した。

こうした状況を背景に、2007年8月、日本の会計基準の作成を担う企業会計基準委員会(ASBJ)とIASBが東京合意を公表し、日本が2011年までにコンバージェンスを実現する方針を明確に打ち出した。このような動きが進んでいることから、EUによる第三国基準の同等性評価は、当初の2007年から2年間延期され、2008年3月に欧州証券規制委員会(CESR)から同等性評価の報告書が出された。

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この報告書では、「ASBJが東京合意に示されたタイムテーブルを達成することを条件に、日本基準はIFRSと同等と認める」とされており、間もなくEUによる最終評価が出される予定である。今後も、日米欧のコンバージェンスへの取り組みはさらに加速すると考えられる。

進展する動きを踏まえ、新日本監査法人の品質管理本部社員で公認会計士の湯川喜雄氏は「企業に、コンバージェンスへの対応として第一に求められるのは、どのような会計基準がどのようなスケジュールで導入されるかを正確に理解し、タイムリーな準備をすることです」と、強調する。そこでまず、平成20年度(平成21年3月期)から平成22年度(平成23年3月期)にかけて、どのような会計基準が導入されるのかを見てみよう。

会計基準等の適用時期 (※クリックで拡大)
会計基準等の適用時期