コラム

企業会計基準委員会の活動について西川郁生副委員長に聞く
~第3回:企業会計基準が直面する問題と委員会の見解(2003.12.01)


 

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今回のピックアップパーソンは、企業会計基準委員会 副委員長である西川郁生氏を迎え、代表社員の奥山弘幸氏との対談形式で「企業会計基準委員会の活動について」をテーマに全3回でお送りします。


顔写真
  • プロフィール

    企業会計基準委員会 副委員長 西川郁生氏(写真左)

    新日本監査法人 代表社員 公認会計士 奥山弘幸(写真右)

     



奥山

今回は、現在の企業会計が直面するいくつかの問題について、企業会計基準委員会の考えを伺っていきます。まず、ちまたで最もホットな話題だった持合株時価会計の凍結ですが、これにはどんなスタンスで取り組まれたのですか。


西川
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与党と金融庁の要請により議論を進めましたが、私たちとしては、あくまでも委員会の通常の議論のプロセスを踏襲することを前提としました。すなわち、まずはテーマ協議会で審議を行い、委員会ではその提言を受けるかたちで審議テーマに取り上げました。

また、議論は公開の場で行うのはもちろん、広くコメントも求めました。時間の制約もあったのでその時期は毎週のように委員会を開いていました。


奥山

経済政策も含めた話となると、結論も出しにくかったのでは?


西川

私たちは市場関係者の集まりですから、市場の意見を集約することで結論を出そうと考えました。したがって、参考人には凍結論に賛成の方も含めた経済学者、銀行、保険、不動産といった業界の方などを幅広くお呼びしました。その上で、デフレ対策、経済対策の効果があり、なおかつ情報開示や会計基準の役割に弊害がないことが明確にならなければ、基本的なルールは変えられない、というのがわれわれの結論です。


奥山

減損会計の時期も、多くの経営者が気にするところです。


西川

これについては、そもそも適用時期というものを委員会で議論すべきなのかという意見がありました。つまり、これは規範性の問題で、規範性を付与する金融庁が示すべきとの考えです。

一方、意見書に書かれているのだから会計基準の一部だとの見解もあった。しかし、現実に委員会で時価会計凍結と同様に取り上げた以上、同様の観点から結論を出しました。


奥山
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世界に目を向けると、EUが2005年に国際会計基準(IAS)を全面採用する「2005年問題」がありますね。外国企業には、必ずしもIASをそのまま適用するわけではないと言われていますが、実際はどうですか。


西川

確かに規定上は、欧州市場での資金調達において2005年以降も日本企業は日本基準が適用できるのですが、実質レベルでもそれでいけるよう、つまり、負担となるような追加開示を要求されないよう、金融庁などがECと相互承認などで合意することが望まれます。


奥山

そういう中では、日本の会計基準の整備状況も問題です。このあたりは、2005年時点ではクリアになっていると考えていいのでしょうか


西川

企業結合と減損処理がスタートすれば、2000年の段階で承認された国際基準のレベルにほぼ到達します。ただ、企業結合や業績報告については、IAS自体が流動的です。改悪の議論をしているように懸念されます。これは日本だけの問題ではありませんが、われわれは日本としてのきちんとした意見発信をしていく必要があります。


奥山

ところで、日本では税が会計基準を補足する面が大きいように思います。会計基準をつくる責任者として、これをどのようにお考えですか。


西川

税と会計基準の関係が問題になるケースとならないケースが、基準ごとに異なるように思えます。例えば、退職給付ではほとんど問題視されていませんが、リースでは大きな論点になっています。一般的に、税と会計は別々とされていますが、現実には、税との乖離が会計基準の制約になってくることもあります。これも今後の課題の一つです。


奥山
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この問題に関しては、中小企業のあり方も議論を呼んでいます。税ではダブルスタンダードを主張する方もいらっしゃいますが、会計基準側の意見をお聞かせいただけますか。


西川

私たちの会計基準は、投資家に正しい財務情報を提供することが目的で、市場に公開している企業を前提としてつくっています。ですから、株主が経営者だけの中小企業において、ある程度柔軟に運用されるのは仕方ないでしょう。しかし、私たちは会計基準は一つという立場ですから、その人間が「中小企業は別の会計処理でいい」というのはいかがかと思いますし、ましてやそのルールづくりをいきなり任されるのは辛いものがあります。

それこそ、日本公認会計士協会が研究するのにふさわしい仕事だと思い、お願いした次第です。


奥山

話がこちらにきてしまった(笑)。私も日本公認会計士協会でこの問題に係わり、問題の難しさをよく認識しています。では、最後にこのホームページをご覧になる方にメッセージをお願いします。


西川

私たちの活動に関心のある方は、ぜひ積極的に参加していただきたいですね。公開草案などにコメントを寄せていただいてもいいし、専門スタッフに手を挙げてくださるのも歓迎です。皆さんができるかたちで参加していただければ幸いです。


奥山

どうもありがとうございました。ご活躍をお祈りします。