企業会計基準委員会の活動について西川郁生副委員長に聞く
~第2回:企業会計基準委員会の審議テーマとその動向(2003.10.14)
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今回のピックアップパーソンは、企業会計基準委員会 副委員長である西川郁生氏を迎え、代表社員の奥山弘幸氏との対談形式で「企業会計基準委員会の活動について」をテーマに全3回でお送りします。
- プロフィール
企業会計基準委員会 副委員長 西川郁生氏(写真左)
新日本監査法人 代表社員 公認会計士 奥山弘幸(写真右)
短期的なものと中長期的なものを合わせると、6~7の審議が行われています。短期的なテーマでは、連結納税制度に伴う税効果会計や、外貨建転換社債型新株予約券付社債の換算。それから、ストックオプションの権利付与を費用処理すべきかどうかというのもあります。これについては、IASは費用処理の方向を打ち出していますが、私たちとしては結論を得るためにまだ議論しなければなりません。
リース会計も、多くの企業が採用している注記による例外処理の是非をめぐる審議の最中ですが、思ったより手間取っています。そのほか、今は税法にのっとっている固定資産の減価償却に関しても、会計の考えを明確にしてほしいとの要望が経済界からあり、取り上げています。
SPCはいかがですか。米国のエンロン事件はSPCを悪用したと言われますが、日本もSPCは利用しています。これを見直す予定はありますか。
委員会の外付けのテーマ協議会で、取り上げるべきとの話も出ましたが、結局は否決されました。ただ、我たちは以前からSPCの検討グループをつくっていますので、一度、検討の経過を基に議論しようと考えています。テーマ協議会でも話が再燃するかもしれませんから、今後取り上げる可能性は十分あります。
では、長期的なテーマにはどんなものがありますか。
2~3年のプロジェクトで、会計基準の棚卸しを進めています。過去、企業会計基準審議会はもちろん日本公認会計士協会からも、さまざまな会計基準に類する文書が出ています。それらを整理し、今も規範性を持っているものと歴史的文書となったものを明確にしなければいけません。そして、基準として不足しているものと手直しすべきものを洗い出し、作るべきものは作り、直すべきものは直していきます。
もう一つは、会計の基本概念づくりですね。よく、欧米ではフレームワークがあるため基準に整合性が保たれていると言われますが、残念ながら、日本には明文化されたものがありません。そこで、学者の方を中心に研究プロジェクトをスタートさせています。
国際会計基準に対する議論の動向も教えていただけますか。特に、国際会計基準審議会(IASB)が打ち出す「コンバージェンス」への対応が気になるところですが…。
理念的にはどこの国も国際基準をそのまま受け入れるのがコンバージェンスということになるのですが、現実的ではありません。もちろん、そのまま受け入れるのがいい国もあります。マーケットが小さくて独自の基準をつくってもコストがかかるだけだとか、国としては大きくても社会主義であったために国内基準が整っていない国とか。
しかし、日本はそうではありません。十分な歴史がある世界第2位の資本市場を有し,内容的に国際的な水準にある会計基準を既に有しています。国際会計基準の良いところは主体的に取り入れ、独自基準を持つべきところは持つのが適切だと考えます。
日本と欧米では考え方に差がありますからね。たとえば、合併会計ではかなり議論が対立しました。そういった事例はほかにもありますか。
一つは企業結合で、アメリカが紆余曲折を経ながらもプーリング法を廃止しています。これは、経営者がのれんの償却スタンスを嫌ったためですが、日本では、プーリングを排除してまでのれんの償却を禁止するのは理解しがたいでしょう。また、業績報告ではIASBが純利益の概念をなくそうとしていますが、日本どころか世界中の会計慣行を机上の理論で排除できるか、これも疑問です。
IASBには、日本から山田辰巳先生がリエゾンメンバーで参加されていますが、連携は図られているのですか。
山田さんは日本の代表というより、IASBとしてリエゾン国の意見を吸い上げる立場です。しかし、いずれにしても国際会計基準の議決の場に各国の意見を伝えるのは同じですから、日本の意見を十分に吟味していただきたいという、大きな期待を持っています。
5月には、日本の立場を説明するためイギリスに行かれたと聞きました。肉体的にも精神的にも大変ですが、ストレス発散法はなんですか。
50歳くらいからジョギングをしています。走り始めて1年くらいでフルマラソンに出たら、思ったよりいい記録が出て4時間を切りました。市民マラソンの世界ではサブ・フォーというのですが、もう4回達成しています。サブ・フォーの回数を2桁に乗せるのが今の目標です。委員会に陸上部を作り,たまに皇居の周りを巡っています。
頑張ってください。最終回となる次回は、マーケットが直面する課題についての見解をお話しいただく予定です。

現在、企業会計基準委員会で取り上げているテーマを教えてください。